ポルシェ914 ヘッドライト不点灯修理

以前は別の車両に乗っていたお客様が個人売買で入手されたポルシェ914。
ヘッドライトのハイビームとフォグランプが点灯しないということで入庫しました。

ポルシェ914

初めて入庫する車種ですしノーマル状態でもないので、修理できるかどうかちょっと不安でしたが、とりあえずお預かりして点検してみることに。

ポルシェ914 ヘッドライトリレー
ヘッドライトリレー

ハイビームが点灯しない原因は簡単に特定できました。
ヘッドライトリレーがウチのカルマンギアと同じだったので、試しに交換してみたところちゃんと点灯します。
ということで、リレーを新しいものに交換することで解決です。

ところが、フォグランプが点灯しない原因を特定するまでには、ずいぶんと頭を悩ませることとなりました。

ポルシェ914 フォグランプリレー
ヒューズボックス裏側のリレー

ヒューズボックス裏側のリレーが一つ付いていないことがわかり、それがフォグランプのリレーであることもわかりました。
隣に付いているホーンリレーと同じマルチファンクションリレーが付くようになっていたので、とりあえずホーンリレーを代わりに取り付けてフォグランプのスイッチを入れてみると、すぐにヒューズが切れてしまいます。
いずれにしても、リレーは必要となるので、リレーを手配して届くまでの間に原因を特定しようと試みました。

フォグランプの外してバッテリーに直結してみるとちゃんと点灯するので、球切れではないし、フォグランプ自体には問題なさそうです。(←結果的にはこの判断が間違っていたのですが…)
となると、配線がどこかで短絡しているためにヒューズが飛んでしまうと考えられます。
しかし、配線をたどって短絡している箇所を特定するのは困難なので、新たにバッテリーから配線を引きなおして、そこにリレースイッチを追加することにしました。

ポルシェ914 フォグランプ配線
新しいフォグランプの配線とリレー

しかし、それでも問題は全く改善されず、スイッチを入れるとヒューズが飛んでしまいます。
フォグランプの手前まではちゃんと12Vの電圧が来ていて、フォグランプ単体で抵抗を計ると短絡しているわけではないのに、フォグランプと電源を接続してスイッチを入れるとヒューズが飛んでしまう。なぜ???

ポルシェ914 フォグランプ
フォグランプ

フォグランプを分解してみて、ようやくその原因がわかりました。
このフォグランプにはH3バルブが使用されていたのですが、不思議な加工がしてあって、プラスとマイナスが逆に接続されていました。
通常、H3バルブはプラス側は配線に接続するのですが、マイナス側はフォグランプボディに接続されて車両のボディアースにつながる仕組みになっています。
ところが、このフォグランプではプラス側の配線がボディーアースに接続され、マイナス側の配線が本来プラスが接続されるところに結線されるように加工されていたのです。
そのため、手持ちのバッテリーに接続した場合にはプラスとマイナスが逆でもライトは点灯するし、プラスとマイナスの配線間の抵抗を計っても短絡していないわけです。
しかし、車載のバッテリーから電源を供給した場合には、バッテリーのマイナスはボディにつながっているので、フォグランプのスイッチを入れた瞬間にショートしてヒューズが飛んでしまうというわけです。

わかってしまえば何てことのない原因ですし、いつ誰がこんな加工をしたのかわかりませんが、まさかこんなことになっているとは思いもしないので、ずいぶんと遠回りしてしまいました。
以前のオーナーさんは、なぜかスイッチを入れるとヒューズが飛んでしまうので、リレー自体を外して使えなくしていたのだと思われます。

新しいH3バルブに付けかえて、無事にフォグランプは点灯するようになりましたが、ちょっとびっくりして、間違えて加工された箇所の写真は撮り忘れてしまいました…

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